*微エログロ注意!?
 期待せずに読んでくださる方はコチラ





































































「耳が痛い!」
そう言って、彼女は両耳を押さえた。













pierce










柔らかそうな耳朶から垂れた、大きな青い石がきらりと揺れる。
彼女のピアスホールからは少しだけ、血が滲んでいた。
「ピアス、重そうだね」
僕はその石に触れた。手で重さを量るようにして持ってみても大して重くは感じないが、彼女の薄い華奢な耳朶には不釣り合いなように思われた。
「やっぱり箒に乗るときは小さいピアスじゃないと駄目ね」
耳朶が千切れそう、と彼女は冗談めいて笑った。

このとき確かに、僕の心臓が一跳ね大きく疼いたが僕は何食わぬ顔で、「気を付けないとね」と言った。


夜、談話室に最後まで残ることは僕と彼女の暗黙の了解だった。
なぜならこの学校で、しかもジェームズたちと共に過ごしている僕たちが、二人きりになるのは難しいからだ。人をからかうのが趣味の彼らも、夜のこの時間を邪魔するような野暮なことはしなかった。

僕たちは暖炉の傍のソファに座って、ただ何となく、ぼぅっとしたりウトウトしたり、話をしたりしなかったり、キスをしたり触れてみたり、とにかく彼女と過ごす数時間は、とても怠惰で気持ちが良かった。彼女の髪を梳きながら、そのまま髪にキスをすると、ピアスが昼間と変わっていることに気が付いた。
「ピアス、変えたんだ」
可愛らしい耳に触れながらそう尋ねると、彼女はくすぐったそうに身を捩った。
「うん。さすがに血が出てたから」
代わりに耳に納まっていたのは小さな、花の形をしたピアスだった。可愛らしい彼女に、とても良く似合っている。
「可愛いね」
「リーマスはこういうピアスの方が好きなの?」
小首を傾げて聞く彼女に、僕は、まったくこの子は…、と軽く溜息を吐いた。
「君がだよ」
彼女の額にキスをすると、彼女は嬉しそうに目を細めた。それを見て調子に乗った僕は、今度は柔らかそうな彼女の唇に、軽く、キスを一つ。
彼女の瞳に抵抗の色がないことを確かめてから、今度は深く、口付けた。彼女の息が続かなくなるまで、何度も、角度を変えながら遠慮がちに動く彼女の舌を追い掛けて、絡ませる。

そのうち彼女は苦しそうに甘い声を一声洩らす。その声を聞くまで僕は彼女の唇を離さない。少しだけサディスティックで支配的なこの行為がお決まりになっていてやめられないのは、この後彼女が、熱い吐息と共にくたり、と僕の腕の中に収まってくるこの瞬間を至福と感じるからだ。
僕はぎゅっと彼女を抱き締める。愛しくて仕方がない、と、このどうしようもない程溢れ出てくる感情を、余すことなく彼女にぶつけてしまいたいけど、僕はそれを、優しく優しく身体中にキスをすることでしか表現する術を持っていなかった。
ゆったりとした少し大きめのラウンドネックのセーターから覗く彼女の綺麗な鎖骨から、首筋へと軽いリップ音をさせながらキスを落としていくと、彼女は再びくすぐったそうに身を捩った。それから耳元へと唇を移動させて、耳朶を甘噛むと、歯に、ピアスが当たってカチリ、と鳴った。
同時に彼女が「ん、」と声を洩らす。
なんと官能的で甘い声。まるで僕自身をわざと刺激しているようなその声。
しかも耳朶からは微かに、血の味がした。

心臓が跳ね上がり、踊る。
僕、という表皮を突き破って何かが飛び出してきそう。
彼女を覆い尽くして僕だけのものにしたいと、彼女をめちゃめちゃにしてしまいたいという激しい感情が、下腹の辺りでぐるぐると渦巻いている。
なけなしの理性が、なんとかそれらを抑えつけようとしていた。
体内葛藤中の僕は、軽く混乱状態で、彼女を強く抱き締めた。
何を今更躊躇しているのか解らなかったが、今夜はいつもより破壊的な感情が強いのが恐かった。それが彼女のピアスの所為であるのは明白だが。

暫らく動けずにいると、不意に彼女が身じろぎをした。

「リー…マス、苦し…」

彼女の声はピアスのよう。
瞬間、僕の身体に彼女の声と同じ波長の電流のようなものが突き抜けた。
そのまま彼女をソファに押し倒し、唇を奪う。


もう、どうにでもなってしまえ。

表皮を突き破った感情に任せて。





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いいわけ
名前変換なくてすみませ・・・。ぬるくてすみませ・・・。
叱咤大歓迎ですホント。色々ご指導下さいませ・・・!反省。
060212筆 花