瞳を閉じて、想い、浮かぶのは。
Snow Song
空は、どんよりと暗く、重い。
ホグワーツの冬は、それはそれは美しいけれど、あまりにも寒い。
その日は、いつから降り始めていたのか、目が覚めた時にはすでに外は白銀で、空からは最後の仕上げというように、ゆっくりと雪が降っていた。
物音一つしなかった。
ルームメイトはまだ夢の中。暖かなベッドの中で、素敵な夢を見ているのだろう、幸せそうに眠っていた。僕は友人たちを起こさないよう、なるべく静かに着替えて部屋を出た。
談話室は暖かい。
暖炉の火がパチパチと、一生懸命広い談話室を暖めていた。
僕は部屋を一周見渡し談話室を出た。
廊下は寒い。
寒い廊下にコツンコツンと僕の靴音が冷たく響いた。
僕は部屋から見えた中庭に向かった。
外は、廊下よりもさらに寒かった。
僕は身震いをし、小さく息を吐いた。
降り続ける雪を気にせず、白い大地に踏み出すと、大地はギュッギュッと僕の一歩一歩に応える。
僕は何だか楽しくなって、自然と歩を速めた。
もちろん大地の応答も、僕に合わせて速くなる。
中庭に着く頃には息を切らしていた。
白い世界はクラクラする。
音と、酸素の不足だ。
僕は目を瞑って深呼吸をした。
そして、
それは、
雪と共に舞い降りた。
「リーマス」
透き通る、声。
僕は目を開いて辺りを見渡す。
もちろん、誰もいない。
ここは、静まり返った中庭だ。
動くものと言えば、降り続ける雪と、スン、と鼻をすする僕だけ。
もう一度、目を瞑る。
するとやはり、声が降っていた。
「リーマス」
「リーマス」
ああ、そうか。
この声は。
瞳を閉じて、
想い、
浮かぶのは、
君の声。
Close
あとがき
今年はまだ雪を見てないな。降らないかもですね。東京は。
名前変換なくてごめんなさい。感想・叱咤お待ちしています。
07.02.05筆 花